sketch/2016.1.6【シエスタにもたれながら】

杉並のアトリエの為に買った、70年代のシエスタというチェアにもたれながら、窓の外を見ている。高い枝の向こうに夕焼けが始まる。私はいつだって世の中のいいとこ取りを目論んでいる。およそ他人の事などどうでも良く、自分の事で精一杯である。そして、そういう想いはとりわけ表に出さず、世の中を渡り歩いている。他人への善意さえも、自分の利益の範疇に納めるように、常に心掛けている。だからこそ、道行くご老人に対して抱いた想いが、我ながら愛おしく、我ながら胸を打たれるという訳だ。夕焼けが終わる。日は伸びているはずだけれど、まだ実感はない。ある日突然、『まだこんなに明るい。』と、今年も思うに違いない。