sketch/2015.2.28

21歳のこの季節に、弥生の季節という歌を作った。イントロはHelplessの、そのまま。毎年、桜の歌が流行っていたので、梅の花の歌を作った。もう3月になる。この季節になると思い出す。あの頃の3月、僕はそんなだった。梅の花は八分咲。

sketch/2015.2.27

guzuriの事に明け暮れる。昼食は小豆島の素麺。小豆島のオリーブをかけて食べる。珈琲をいれて一息つく。今月はカフェ営業が2日間だけで、スケジュール帳を見返すとほとんど毎日録音だった。そういえば今年の2月は大雪が一度も無かった。毎年どこかでドカ雪が来るのだけど、今年は無かった。気分転換に映画館へ行く。屋根裏で仮眠。真夜中の高速道路を走る。ありがたい事に朝まで営業している足柄SAの湯船につかり、夜明け前に富士宮へ辿り着く。

sketch/2015.2.26

雨は夜と共に弱くなり、上がった。新作のRECはひとつ区切りを迎える。夜になり、いつもの店へ。2杯飲んで帰る。

sketch/2015.2.25

一日が終わり、風呂へ出かける。露天風呂から窯風呂、炭酸泉から水風呂、そしてサウナ。エンジニアの中村さんと、長風呂でのぼせる。新作のRECは続く。

sketch/2015.2.24

所沢街道から西武園を抜け、新青梅街道へ出る。環八を下り、井の頭通りへ。そこからは一本道。根津美術館の手前のパーキングに車を停める。みゆき通りを歩くのは気が引けるので、すぐにいつも歩く裏道に入る。HADEN BOOKSにしか用事がないこの街だけど、今日は教会へ。扉を開けると、龍平さんのギターが聴こえる。guzuriでしか会ったことがないから、なんか可笑しい気持ちで再開。畠山さんと3人で歌うSMILE。リハーサルのときから、隣から聴こえてくる音と景色で、僕はずっと幸福だった。すべてが終わり、教会から出ると、また時間が動き始める。 みゆき通りから表参道へ、井の頭通りから山手通りへ。新青梅街道から所沢街道へ入る。朝までやっているダイナーで、寿司を食べる。ご苦労さんと、自分をねぎらう。

sketch/2015.2.23

ジェットエンジンの音で目覚める。とりあえずモーニングをやっている珈琲店へ。気がつくとランチタイムに入っている。一日中マイクとの距離感を試行錯誤。ほんの数センチで、がらりと音が変わる。気がつくとRECのタイムラインは300分を超えている。時間の感覚が麻痺してゆく。そろそろ旅に出たい。

sketch/2015.2.22

現状に満足していると、落とし穴に落ちる。今、過去の自分にずいぶん救われている。 歌いはじめて間もない頃、父親と高田馬場の小料理屋へ行った。僕は曲があふれる様に出来ている事を自慢げに話した。親父のリアクションはそんなになかった。ただ、ビールのグラスを傾けながら、こう言った。「そういうものや、自分のメモは大切にしておきなさい。いつか自分を助けてくれるから。」と。始まったばかりの若者には響かない。そういう言葉だった。もうかれこれ10年以上会っていない。何度か着信があったが、折り返していない。海外に居る噂を聞いたが、確かめていない。交わした言葉は少ないけど、その言葉はおおきな贈り物になった。  時々、落とし穴に落ちる。そんな時、ふと浮かぶのは、あの小料理屋の景色。僕は煙草をふかして、いかにも人生が始まったような気でいた。  あれから、ずいぶん時が行き、様々な職を転々としたけど、歌は続けている。何年か前に一度、その店を探したけど辿り着けなかった。思い出しては忘れ、また思い出した言葉だから、きっとまた忘れてしまうと思う。彼は40歳で直木賞をとっている。僕はあと6年で何ができるだろうか。今日もまた、過去の自分に救われてしまった。

sketch/2015.2.21

午前中の電車に乗って、それから良い映画を見た。その気持ちで打ち合わせに向かう。渋谷の週末はさらに歩きづらい。いつものカフェで言葉を交わし、また電車に乗った。エアストリームにつくと、久しぶりにあいつが居て、少し話す。日が落ちて滑走路のイルミネーションが始まる。ここ数年の何かに、けじめがつく日々がゆく。そんな心地。

sketch/2015.2.20

晴天。33歳もラストスパートの日々。30歳の時、何をしていましたか?と問われる。思えば、25歳で入間に来てからというもの、guzuriの事ばかりしている。キッチンの棚の奥には、賞味期限が切れた瓶やら缶詰。さっきすべて処分した。もうずっと前から、掃除をして、人を迎えることの繰り返しをしている。そしてたまに、旅に出る。きっと、旅先で迎えられることの喜びが、僕が人を迎え続けている理由なのだと思う。それは、僕が音楽を続ける理由とほとんど同じなのだろう。素晴らしい音楽を聴く度に、僕は続けていられる。

sketch/2015.2.19

昨日の雨から晴天へ変わる。少し早く起きて、コーヒースタンドへ。ガソリンや灯油はずいぶん安くなった。珈琲をすすりながら見るガソリンスタンドの景色。妙に選曲の良い店内。数年前に心奪われた歌声があって、そのフランチャイズのコーヒースタンドの本部に問い合わせた。数日後、その日の曲リストが送られて来た。片っ端から検索した。その声の主はPriscillaAhnだった。素晴らしい声や音に出会う感動。自分も誰かにそんな思いをさせたい。という衝動は、昔も今も変わらない。それだけは押し付けがましく、心の奥で思っている。

sketch/2015.2.18

雨が降って、空気は柔らかい。自分で立てたマイク以外で録音するのは2年以上ぶり、という日。藤井さんが逝ってからは始めてかな。神棚に榊を備える。新作の録音がはじまる。

sketch/2015.2.17

録音スペースとカフェスペースは共用で、コントロールルームは別にある。幾度となく配置換えを施した結果、今のようになった。箱の中での動線も、ある程度の人数を考えて配慮している。今日もguzuriの中で人が動く度にその動線が気になる。そしてまた、あーしよう。とか、こうあった方がいいな。とかを、気がついたら考えてしまっている。

sketch/2015.2.16

旅に出かけたくなるような陽気。昨日吹き荒れていた風も穏やかになり気温も高い。花粉が飛びはじめていると耳にする。今年もシーズンインかと、気が重くなる。近所のプールに行くもメンテナンス休暇中。今日も旅人の音楽がguzuriに響いている。

sketch/2015.2.15

guzuriのアップライトピアノは評判がいい。もともと実家にあったそのピアノは、叔母から姉へ、そして誰も弾かなくなった。入間に来てからは、たくさんのピアノ弾きに愛されている。今日はリクオさんの録音。古いリボンマイクをすこし離れた所に置いた。音が始まった瞬間に魅了される。そんな音がしていた。二夜連続でSO-SOへ。リクオさんとSO-SOに居ると、HOBO HOUSEの録音を思い出す。

sketch/2015.2.14

日付が変わりエアストリームに戻ると、ファンヒーターの温度計は1℃。仙台から入間に向かう車を待っていた。電話が鳴って、guzuriへ向かう。白い息を吐く旅人たちと再開。朝が来て、珈琲を煎れた。調律の音を聞きながらマイクを立てた。そしてまた珈琲を煎れた。録音が終って、今年始めてSO-SOへ行った。

sketch/2015.2.13

とても高価なカメラのレンズ。覗くだけでその差がはっきりと分かる。特別な雰囲気をまとっている感じは、マイクと似ている。そして思う。感動する仕事の向こうには、それを築き上げた歳月が潜んでいる。時は金なり、子供の頃嫌いだった言葉。今ではずいぶん印象が変わった。この物質社会に限っては、時間と対等の顔をしているマネー。関わる人は良い仕事をしてくれている。そこに積まれた価値ある時間に、お金を払いたい。

sketch/2015.2.12

一年でいちばん空気の引き締まった季節。録音環境としては梅雨入りまでが快適なguzuri。録音続きなので珈琲店はしばらくの休みに入っているものの、山積みのToDo。guzuriのホームページもリニューアルへ向かっている。店内撮影、疲れ果て、屋根裏で仮眠のつもりが、深夜二時。

sketch/2015.2.11

昨晩、ふと思う。あと何回いっしょに迎えてあげられるのだろうか。母の誕生日のこと。時間をつくった。2時間のドライブ。富士山がよく見える冬晴れの建国記念日。

sketch/2015.2.10

10代の終わりの頃、ドレッドヘアをしていた。そしてボブマーリーばかり聞いていた時代がある。同じくドレッドヘアだった先輩は言った。「人生の中で出会う人は、同じ時の中で生きている。」違う時の流れの中で生きている人間とは決して出会う事はないのだと。そしてそれはボブの言葉だと、酔った先輩は煙の中で神妙そうに語っていた。よくその言葉を思いだす。あれからずいぶん経つのに、キーワードのように僕の人生に蔓延っている言葉。   電話が鳴る。市役所の緑の課から。来週、公園の木の伐採がguzuriの前まで来るらしい。レコーディングに支障が出ないか?という確認の電話だった。来週はガッツリ録音だった。今週中にguzuri前を終わりにしてもらえる様に最善の努力をしてくれるとの事。 ボブ、今日も僕は時の流れに感謝しています。

sketch/2015.2.9

立川にアメリカ村がある。その管理事務所に電話をしたのは10年くらい前のこと。今は横田の米軍関係者のみが入居できるという事で門前払いをされた。福生、立川、狭山の3つのキーワードで米軍ハウスを探し歩いた。そして、キーワード候補外の入間に流れついた。半年程前、guzur珈琲店を訪れたミュージシャンがいる。アメリカ村に実家があり、二人はその近くの米軍ハウスで暮らしている。当時から住んでいる日本人は今もそのまま住めるのだということや、アメリカ村の話をねほりはほり聞いた。それから半年くらい経ち、いよいよ二人の録音が始まる。立川と入間の米軍ハウス。時を超えて繋がる物語がある。

sketch/2015.2.8

カウンターにはCSN&Yのライブ版ボックス。芹沢銈介のカレンダーと観葉植物たち。椅子は程よい高さで、クッションは低反発と綿の2枚重ね。長居をしてしまう。決して高価な内装ではないけど、店主の思考で出来ているその店と僕とは愛称が良いみたいだ。この店のカレーはすべて食べた。

sketch/2015.2.7

レッドアローとロマンスカーを乗り継ぐ。町田駅から少し歩く。薄暗い街灯しかない住宅街を歩く。三件目という立ち飲み屋で焼いてもらった焼き鳥と、コンビニで買ったビールをぶらさげて歩く。マンションの地下室の扉をあけると、家具屋と洋服屋が面白そうな話をしている。町田のPHABLIC BASEMENTにて密談。

sketch/2015.2.6

今年はなぜかカレーがマイブーム。特にマトン。年始からレコーディングも多くなかなかカフェ営業が出来ていないが、3月以降は店番の日も多くなる予定なので、いっそ今年はカレーに力を入れようかと思う。マトン、チキン、野菜、バナナ。この4つを極めたい。そしてもう一つ、姉がヨガの先生もしているので、やってみようかと思っている。メールでオススメのヨガマットを聞く。とりあえず今日は柔軟から取り掛かる。ここ数年プールに通っていたせいか、体は思っていた程固くなっていない。

sketch/2015.2.5

朝の雨は次第に雪に変わる。今日の雪は地面に落ちるとすぐに溶けてしまう。とても寒いけど、この寒さは春が近づいている感じがする。移動中のドライブでボイスメモをチェックする。恥ずかしすぎるものから、はっとする音まで満載で飽きないけど、誰にも聞かせられない代物。 昨日、羊毛くんと栗原くんと新年会をした。20代をがむしゃらにやってきた男たち。三者三様の現在がある。ボイスレコーダーを再生して思う。僕は10代からやってる事は変わっていない。30代も半ばに差し掛かろうとしている。

sketch/2015.2.4

私的に大ヒット中のカレー屋を訪ねるも休み。清掃センターへの道すがら、ワーゲンのバナゴンが停まっている。まさかと思い目印のあるフロントのアンテナをチェックする。僕が乗っていたそのものだった。誰かがオーバーホールして乗り継いでいる。嬉しいというか、ほっとする。その車でよく地方へでかけた。新名神でオーバーヒートしてから、どんどん調子が悪くなって、最後は煙を吐いて走らなくなった。あれから5年くらい経つだろうか。まだまだ元気そうでなにより。立春。

sketch/2015.2.3

玉ねぎ、みつば、春菊、にんにくの芽、油揚げ、タマゴ。適当な材料で常備食を作る。作りながらビールをぷしゅっとやる。食後に豆を数え年分たべる。ふらっと立ち寄った商店で豆を買った。ほっぺたを紅くした年老いたおばあちゃんの商店。歩き疲れた夜、湯船につかる。節分。

sketch/2015.2.2

浅間大社に初詣。guzuriの神棚のお札も納め、新しいものにする。神棚の水を変え、手を合わすのが日課になっている。目に見える情報は蔓延しているけれど、目に見えないものを信じていたい。子供の頃は暗闇が怖かった。いつの間にか只の暗闇になって、そこに見えない恐怖を感じなくなった。願掛けしながら歩いた通学路には、いつも目に見えない何かが潜んでいた様な気がする。嘘をつくと、後ろめたさでいっぱいになったあの頃が遠くなって、いつからか真っすぐな瞳の人や子供に心引かれる様になった。今日も神様が見ている。

sketch/2015.2.1

18年間生まれ育った町を出て、そろそろ16年。工業団地は大型スーパーに、渋滞する踏切は高架鉄道になった。浅間大社の孔雀も居なくなって、整備された公園と駐車場に変わった。実家の裏の田んぼは住宅に変わって、季節の匂いや虫の音もしなくなった。でも時々、この町の変わらないものを見つける。僕がさんざんボールをぶつけていた壁には、まだその痕がある。湧き水の池は、今もこんこんと水が満ちている。好きな子に告白した場所は、相変わらず車通りが多くて危ない。変わってしまったことばかり目立つけど、目を凝らすと、変わらない物は至る所にある。祖父の一周忌でお経を静かに詠んだ。思い出されるのは、賑やかで人が沢山集まる商店。愛嬌ある口の悪さに迎えられる人々。それを支える家族の風景。

sketch/2015.1.31

昨日の深夜に、今日閉店するハバナムーンへ立ち寄った。ガラス戸に手をかけると「帰れ~」と一蹴される。特に気にせずカウンターへ腰を下ろす。前割りを注文する。名残惜しむ客で溢れる店内。ふとレコードが差し替えられる。ユーミンのMISSLIMが流れる。木下さんはそういう人だ。なんだか終わりの気配やら、終わりやらでごった煮の一日が明けて入間へ。雪がまだ残っている。冷え込む夜の店番。昼間のマトンカレーが体に残っている。もう少ししたら車を走らせて西へ向かう。