sketch/2016.1.30【居場所】

 東北自動車道を北へ。去年の今頃は温泉街のフェスへ向かっていた。ちょうど今日はそのフェスが行われているはずだ。『今年は呼ばれなかったな』などと放心していると、分岐を間違え途方も無い遠回りをすることに。


 辿り着いた場所の三角屋根は別荘のような佇まい。雪の積もった白い庭。雑木林を望む窓。部屋の隅々に目をやると、私をどんな気持ちで迎えてくれているのかが分かる。


 彼女はいつか私に言った。「人をもてなすってことは、その人の居場所を作ってあげることでもあるんじゃない?」と。なんだか腑に落ちる言葉だった。


 東北自動車道が圏央道と接続し、入間市まではあっという間である。インターそばの銭湯につかりながら、湯気の中で考え事をしたり、サウナの中で見る久しぶりのテレビCMに『ベッキーは商品なんだもんな、』などと、のぼせた頭に時事ネタを巡らす。


 外へ出ると息が白い。


 夕食をしながら話をする。『居場所』という響きが、少しずつ、しんしんと積もっている。