sketch/2015.12.4【夢の印税生活】

秋の朝はウインストンのオータムがいい。もう10年以上前の秋が、モーニングタイムの喫茶室に流れるピアノの音色で浮かび上がる。「パークサイド」という曲を思い出す。当時珈琲店で働いていた私が、休憩時間に使っていた喫茶店の名前だ。「木枯らしの頃」という曲もある。「カーテンが揺れると」という曲も秋のものだ。最近作る曲よりも、描写に気配を濃く感じる。誰かに認められなくても、これは最高なんだという保身の固まりの時代。(今もその傾向はあるが)少し歌ってみると、どうやら今の私に歌ってもらう為に’’あの頃の私’’が書いておいてくれたような気がしてならない。そして私はそんな時、些細なノスタルジーからの酔いに任せ、自分の生き方に正当性をこじつけて納得しようとする。珈琲と音楽がきっと連れて行ってくれるであろう、遥か彼方の印税生活を夢見ながら。