sketch/2015.12.26【暖冬】

今年の紹興酒納めである。ライブを終え、ロバハウスを後にし、行きつけの中華料理店へむかう。4人掛けのテーブルは宴の後だったので、カウンターに腰を下ろす。今年も足しげく通った店の大将にちょっと話しかけてみる。


 「今年もありがとうございました。いつもとても美味しいです。」とか言ってみる。


 客席のカウンターよりも少し高くなっている厨房内は、換気扇やら冷蔵庫やらの騒音で、こちらの声が聞き取りづらいらしく、私の年の瀬のご挨拶が全く届かない。考えてみれば、いつもオーダーを伝えるだけで精一杯だったのだから、とても私の長文が聞き取れるはずが無い。必ずと言っていい程、オーダーを聞き返してくる大将がみせるリフレインのジェスチャーは、2015年私的モノマネレパートリーの中でもトップ3に入る。


 今夜も美味しく頂き、店を後にする。まだまだ手袋はいらない。暖冬だ。ちょっと大将のマネをしてみる。つまらなそうにそっぽを向く連れの表情を見る限り、決して他では披露すまいと心に誓う師走の夜道。


 暖冬である。