sketch/2015.2.1

18年間生まれ育った町を出て、そろそろ16年。工業団地は大型スーパーに、渋滞する踏切は高架鉄道になった。浅間大社の孔雀も居なくなって、整備された公園と駐車場に変わった。実家の裏の田んぼは住宅に変わって、季節の匂いや虫の音もしなくなった。でも時々、この町の変わらないものを見つける。僕がさんざんボールをぶつけていた壁には、まだその痕がある。湧き水の池は、今もこんこんと水が満ちている。好きな子に告白した場所は、相変わらず車通りが多くて危ない。変わってしまったことばかり目立つけど、目を凝らすと、変わらない物は至る所にある。祖父の一周忌でお経を静かに詠んだ。思い出されるのは、賑やかで人が沢山集まる商店。愛嬌ある口の悪さに迎えられる人々。それを支える家族の風景。