sketch/2016.1.25【心地よい乾杯】

 遠い場所からのオファーに、どうすれば私にも向こう側にも得が生まれるかを一緒に考える。何百キロも離れた場所の男と30分も長話をする。だいたい世間話だが。


 彼が私を理解しようと努め、私が彼を理解しようとしている関係は心地よい。


 そうやって場所を作りながら生きていると、儲けなどどうでも良い気分になってくるのだが、他人を不幸にする訳にはいかないという思いが私を踏み留まらせる。


 いい顔をしながら人を裏切る人間を知っているので、そうはなりたくないと思うが、『誰かにとっての私はもしかしたら』と想像すると尚更に。


 一緒に時間を過ごした相手とは、心地よい乾杯をしたい。