sketch/2016.1.10【哀れな私】

 カウンターの向こうで煙草を吸う店員を見ていても悪い気はしない。むしろその仕草が懐かしく、美しくも見えたりもする。しかし隣の席で吸われると、たまらなく不快だ。私は喫煙者の頃、煙草を毛嫌いする人達のことを哀れだと思っていた気がする。今、私は煙草を吸わなくなった。そして喫煙者の事を、少なからず哀れだと思っている。しかし私が禁煙に成功したのは、数えきれないもらい煙草の末だということを考えると、我ながら最低だなと思う。