sketch/2015.12.28【私の器】

 深夜の山手通りをタクシーに揺られていると、ちょっとだけスクリーンの中に居る気分になる。首都高速の高架下の甲州街道をほんの少し横切ると、1人目の目的地。引き続きタクシーに揺られる。井の頭通りを西に向かう。高校生のころ読んでいたロマンスの舞台はおよそ東京の西側だった。あの頃の憧れの町も、今は良く知る町。そして居心地の良い町になった。始発を待つことをせずにタクシーに乗り込んだはいいが、割増メーターに少しずつ酔いが覚めてゆく。それが私の器である。