sketch/2015.12.14【秋の味覚の代償】

活きたホタテを刺身にして、幻の瀧という名酒で頂く。空腹にすっと馴染むのどごしと後味。体を温めるという名目で酒をたしなむ。この秋は頂き物で満喫した。栗、銀杏、ホタテ。どれもそのままでは食べられず、美味を覆う殻と格闘するところから始まる。栗は薄皮煮、銀杏はあぶり、ホタテは刺身にした。どれも横着の効かない行程を必要とし、それがまた豊かな時間だ。などと、、キレイごとではない。ホタテは慣れたもので、経験者の私にはどうってこと無かったのだが、栗の皮なんかは初めて剥く。レシピも調べず始めたものだから当然うまくいかずイラつく。その後も延々と煮込みの繰り返しで薄皮をはいでゆく。銀杏などは、臭い果実をもくもくと洗い流し、その後も実に面倒くさい。それでも、数時間もあれば食卓に並ぶ料理へと変わる。そしてその味わいに、豊かだ〜と舌鼓を打つ。しかし肝心の体を温める名目で飲みはじめた酒は結局深くなり、素晴らしいのどごしと後味も、翌朝には再び喉の激痛へと変わってしまうのだった。