sketch/2015.1.17

東北自動車道を北へ、吹雪と晴天を代わる代わる通り抜ける。山間の温泉街は雪国の景色そのもの。窓からスローモーションのように雪が舞う。しんしんと積もりつづける。震災後、温泉街は客足が減ったという。放射線量の少ない土湯温泉も震災後16軒あった旅館は11軒に。あれからもうすぐ5年。未解決のことばかりだけど、世間はまあまあ普通に動いている。いきなり突きつけられた大きすぎる問題に持続して取り組み続けられる人は限られている。道行く人々の多くのテーマは自身の生活だろう。僕もそのひとり。大なり小なり、すぐに解決出来ない問題は、ヒキダシに閉まっておく必要がある。そのヒキダシにカギをしないで、たまに覗き込む。時間は少しずつしか動かない。大宴会場に響く音とユーモアは、それぞれのヒキダシを開けたり閉めたりしただろう。深く考えるのはやめてしまおう。お酒を飲んで好きな音楽と仲間とその場所を楽しもう。何も変わらないかもしれないけどそれでいい。山間に佇む温泉街は、これからも疲れた僕たちを迎えてくれる為にそこにある。


[アラフドミュージック2015@土湯温泉を終えて]