sketch/2014.11.8

入間もはずれの方に来ると、様子が変わってくる。茶畑が延々と続く道を行くと、カリフォルニアの田舎道をドライブしたときの事を思い出す。横田基地から飛び立つ米軍の飛行機が一日に幾度も上空を過ぎる。そんな入間のはずれに、海洋コンテナ防音室の施工現場はある。 今朝は特に寒かった。防音窓を設置、コーキング、床の仕上げ。あっという間に4時のチャイムが鳴る。「日が短くなりましたね。」などと、分電盤を付けに来た電気屋さんと話す。 依頼主のコントラバス奏者の栗原君とは羊毛くんの紹介で知り合った。彼がguzuriへ来たのはもう半年くらい前だろうか。定かではないが、コンテナを置ける物件探しから始まっているので、ずいぶん時間は経っている。 午前八時、現場に入る時間に彼は自宅に居ない。聞くと、毎朝6時に少し離れた実家の練習室へ出かけていくのだという。2時間ほど運指やピッチの確認の後、日中の仕事を終えて、夜も音を出しに出かけていく。その話を聞いてずいぶん影響された。僕ももっとやらなければと思った。 さっき、第一次工事を終えて音を出してみた。明日の朝は新しい練習室で音が出せそうだ。第二次工事は、アンプでもある程度音が出せるようにするための吸音を施す。棚や、その他まで、しばらく工事は続く。ベーズを構える彼の姿は美しく、歳月を積んだ者だけが放つ雰囲気をまとっている。


はっとする生き方に触れると、動き出したくてたまらなくなる。今日はこれから、さっき届いた新しい楽譜を開いてみる。今夜もguzuriの店番だけれども、人が来て欲しい様な欲しくない様な、そんな心地でいる。


 


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