sketch/2016.2.4【環状線に乗って】

 用賀インターからは片道4車線の広い道路だ。西日が眩しい。夕焼けが美しくて、思わず携帯電話のシャッターを切る。東名横浜町田インター出口は事故渋滞。あっという間に日が落ちてゆく。


 国道16号線に入ると、この道が続く入間や西千葉インターの事を思ったりするのは環状線の不思議な効果。


 


 あれは始めて事故を起こした夜。


 用賀インターから東へ向かうルートは大渋滞で、私は高速道路を降りた。


 道路標識を見ると、亀戸とある。私の住む船橋からほど近い東京の名称が目に入り、環状線外回りの北上を始めた。


 夕方の環八は今も昔も大渋滞。そしてどう考えても亀戸とはあさっての方角に進んでいく。


 お上りさんは環状線を知らなかった。


 2時間くらい渋滞にはまり、方向感覚が麻痺をして途方にくれた。自分が今どこにいるのかも分からなくなり、ふと、月を探した。


 車の窓から覗き込むように、ビルとビルの隙間の夜空に月を探した。


 陸橋の緩やかな下り坂で、前の車に衝突した。


 あれから環八は苦手だ。環七もそんなに好きではないので、都心へ出る時は今でもなるべく避けている。山手通りまで出ると、なぜかほっとする。


 とにかく、環状線には色々と思い出がある。


 今夜、言葉の仕事場へ向かう。


 環状線に乗って。