sketch/2016.3.31【生徒になる】

 久しぶりに『教わる』という状況。生徒になるという行為は、もしかしたら定期的に行うべきなのではないだろうか。

sketch/2016.3.30【今朝の場合】

 寝ぼけ眼で駅のホーム。ベンチに腰掛ける疲れきった私の視線は低く、スニーカーや革靴、ハイヒールなどが一方通行で横切る。


 世の中と切り離された感覚の時間を感じる瞬間。


 今朝の場合、心地よい。

sketch/2016.3.29【尽くし甲斐】

 衝動に突き動かされる一日というものがある。失敗すると言われても、トライしてみるのが私の良いところであり、ウイークポイントでもあろう。案の定、深夜の時間帯にトラブルと遭遇するが、手を真っ黒にしながらも難を逃れ、ひとつの経験値が養われる。


 コンピューター化する以前の機械は、こちらが尽くす限り答えてくれる。限度はあるが、尽くし甲斐がある。

sketch/2016.3.28【踏み切れないこと】

 携帯を紛失している。実家に電話をかけるにも「慎介だけど、オレオレ詐欺じゃないよ。」と念を押すが、言いながらも益々怪しい。


 このまま携帯を辞めてしまおうかなどという思いもちらつくが、今の所は得る物よりも失う事の方が多そうなので踏み切れないだろう。

sketch/2016.3.27【失われたもの】

 今夜も鶏の唐揚げとレッドアイ。さて、自宅でしばらくたってから、携帯を入間に忘れてしまった事態に気がつく。とくに困るわけではないが、明日は休みであるので、緊急の連絡には対応出来ない。


 たまに携帯電話を紛失したりするのだが、その間の時間たるや壮快であり、失われたものが舞い戻ってきた心地さえする。

sketch/2016.3.26【料理イヤー】

 呑みに行くのを辞め、鶏の唐揚げを作る事に。


 しかしながら、大好きだった鶏の唐揚げは、こんなにもあっけなく簡単に出来上がってしまい、さらにとても美味しく、こんなに簡単な事だったのかと寂しくもある。


 今年は料理イヤーと決めた。


 

sketch/2016.3.25【John John Festival Day3】

 3日目。何かしら見えてくる3日目。いつの間にか私も身を乗り出している。


 ディスカッションが始まり、バンドがいよいよ再開しようとしている。


 しばらく私も、バンドの一員になろうと思う。

sketch/2016.3.24【John John Festival Day2】

 2日目。


 John John Festivalがもう一度バンドになるまでの時間を、お供させていただく。


 朝の雨も上がり、午後には光が差し込む。


 日が暮れる頃、ストーブに灯を入れ、湯を沸かす。


 何かを思いつくと口を開き、なにも浮かばなければそのままでいい。


 


 

sketch/2016.3.23【John John Festival Day1】

 1日目。まずは『これは違う』という事がわかればいい。音と長く向き合うコツというか秘訣。


 たまに奇跡のような時間が舞い降りて、心が震える。でもそれは神様からの贈り物なので、いつも期待してはいけない。

sketch/2016.3.22【名残惜しく】

 珈琲が売り切れになり、夕方を迎えた。明日からの録音の為の準備も、フレンチトーストの仕込みも、同時進行である。


 昼間の陽射しが強くなった分、夜の冷え込みがまだまだ名残惜しく冬にしがみついているようだ。

sketch/2016.3.21【優しくなれる】

 労働をしやすくする為の労働があり、労働を生み出す為の労働がある。


 目に映るものすべての労働と、その繋がりを考えると、そこに温もりが宿っていることに気がつく。


 そして今よりもすこし、優しくなれる。

sketch/2016.3.20【和やかに上がるテンション】

 不意に現れたゲストミュージシャンが顔見知りだった感じは、ホームセンターで友人に出くわした時と似ていて、テンションが和やかに上がるもの。

sketch/2016.3.19【これからも続く】

 あの子には、この場所がよく似合う。ここでは、誰もが心地よいわけではないかもしれないが、彼女には心地良さそうだったので、よかった。


 料理人の立つ姿や、音楽家の演奏シーンを浮かべながら、ひとつひとつ作った場所も、こんな一日に繋がっているのであれば、これからも続けていけるだろう。

sketch/2016.3.18【申し訳ない気持ち】

 ふわっと風がよぎったのを感じた刹那の、取り返しのつかない後悔。


 しかし取り返しのつかない事のことは、もう考えない。


 近所のガラス屋に電話。


 数十年と雨風を凌いできた、古い建具のガラスに、申し訳ない気持ち。

sketch/2016.3.17【はしごのせい】

 guzuriの開店時間が遅れたのは、ホームセンターをはしごしたせいだ。


 木材にめっぽう強いひとつ目のホームセンターに期待を裏切られ、2軒目のホームセンターでもしぶしぶの材料調達であったが、これで土曜日の為の準備に取りかかる事ができると、胸を撫で下ろす。

sketch/2016.3.16【今日のところは】

 総勢20人のスタッフを引き連れて来たバンドは風のように現れ去って行った。


 私も疲れ果てて、どこかへ去って行きたい気分であったが、どこに去ったとしても、心だけはここに残してしまいそうなので、どこにも行かないことにした。とりあえず今日のことろは。

sketch/2016.3.15【退路を断つ】

 今日から35歳。そろそろ何かしら退路を断つという判断が必要らしい。私にとっての退路とは、歌うだけで金が入るという甘い蜜の世界であり、それさえ出来れば何とかなるという考えだろう。


 ならば、私は歌う事でお金を得る事を捨ててしまおう。ひとつ生業を失うと思うとぞっとするが、そうではない。作品という物を売り続けようと思う。CDやレコードだ。


 ライブは無料だが、気に入ってもらえたらCDやレコードを購入してもらおうというスタイルが、私には心地よい。


 というわけで、今年は出来るところから、一人でのコンサートはそういうスタイルにシフトしていく。


 それでも、演奏を依頼される場合があれば、それはそれでありがたく対価を頂戴させて頂こうと思う。

sketch/2016.3.14【冷たい雨】

 冷たい雨。なかなか晴れない。


 長靴も無い、雨合羽も無い。車生活に慣れると、水たまりの深さの推測も衰える。横殴りの雨の深刻さも忘れている。


 立つ位置で物事は変わって見える。

sketch/2016.3.13【深夜高速】

 録音が終わり深夜の高速道路をぶっ飛ばす。私よりぶっ飛ばしている車が後から後から来るので、速度違反で取り締まられるのはそっちの方だろう、と安心しながら走る。高速道路を降りたところの派出所が目に入り、ブレーキを踏む。通り過ぎるとまたアクセルを踏む。


 私のそういう判断が色々なところに反映されていると思うと、全くつまらない。

sketch/2016.3.12【寒さのせいではない】

 ライブを終えて、大きな風呂につかる。ふと、露天風呂に出ようとしない私を見つける。寒さのせいではなく、なにかしら自分が失ったものをひとつ感じる。


 悪い気はしない。失わなければ新しいものは入って来ない。

sketch/2016.3.11【いっぱいいっぱい】

 ギターマガジンの取材。大瀧詠一さんの特集だという。若手は私と岡田君(元、森は生きている)の対談なのだという。いささかの心配事は、二人とも決め手に欠ける発言ばかりで終止むにゃむにゃしていたことだ。そして対談後の方が盛り上がりいつの間にか夕方。


 明日のライブや録音の仕込みに追われ、いつの間にか深夜。


 私のリアルは明日の録音環境を整えることと、明日の自分の演奏のことでいっぱいいっぱいである。

sketch/2016.3.10【骨が折れる】

 3月中旬より立て込むスタジオの為の整備が遅れている。DIYはケーブル制作にまで及び始めたが、これまで手を付けていなかった分野なのだから、スピーカーケーブルひとつを作るのにも骨が折れる。しかし熱収縮チューブを炙るのは楽しい。

sketch/2016.3.9【覚えていない】

 深夜バスに乗ったらしい。皮の財布にはよく分からない大きな傷。下車する駅をひとつ間違えたこと、暫くトイレに閉じこもっていた事。焼酎のボトルもワインのボトルも空いたのは覚えている。いろいろな事を、覚えていない。

sketch/2016.3.8【目指すところ】

 入れ代わり立ち代わり、人の訪れる午後。私は管理されるのが苦手なので、きっと管理する事も下手だろうから、そういう考え方は手放そうと思う。曲を作るのと同じく、出来上がったあとは聴く人に委ねる。guzuriという場所も、ある意味そういうところを目指している。

sketch/2016.3.7【濃霧の夜】

 夜の電車に揺られるのは久しぶりだ。ベッドタウンとは逆へ向かうのだからがらんとしている。


 暇そうな夜の電車に揺られると、高校時代の帰宅電車を思い出す。


 23時ころにJR富士駅を出発する終電車。そこそこの乗車率だが、駅の度に減ってゆく人。私の下車する西富士宮駅から先は山の中である。


 当時、自動改札機の導入も随分遅れていた。駅のホームを改札とは反対側に飛び降りてしまえば問題なかったし、切符を無くしたと言う若者が、毎晩のようにキセルを繰り返していたであろう時代。


 ポケベルの登場から今夜までを漠然と考えながら電車に揺られる。


 5年も前のスマートフォンだが、目的地の停留所までを丁寧に教えてくれる。タッチパネルの反応が鈍く、10秒程のレイテンシーにイライラしていた私だが、そのくらいおおらかに待っていたい。


 『オハヨウ』というメッセージを送る為に公衆電話の列に並んでいた事を考えると、この先ずっと今の携帯電話で不自由な事など無いだろう。


 携帯電話が教えてくれた到着予定時刻を5分くらいオーバー。


 私を待つ人には予定時刻を告げてあるので、なんとも言えない感情がよぎるが、誰のせいでもない。


 濃霧の夜。

sketch/2016.3.6【一年に一度の道】

 今年は梅の開花が早い。


 年に一度だけ通る川沿いの道がある。不思議と一年ぶりだという気がしないのは、きっと夢の中で何度も訪れているのだと思う。


 高速道路をゆっくりと走る。雨に追いつき、追い越してゆく。

sketch/2016.3.5【幸あれ】

 布をテーマにした祭典を始めた男子がいる。


 私を取り巻く服も、珈琲を落とすネルも、目に映る世界は布で溢れている。


 布博という壮大な足跡をのこして旅に出る彼の生活の中に、これからも私の音楽があるという事が、うれしい。


 幸あれ。

sketch/2016.3.4【日々準備】

 音の反響も、珈琲店のことも考えた結果。ひとつレイアウトを変更。新しい景色のguzuriがまた始まる。焙煎の為のスペースの構想も進む。


 新しいスタッフも、ここを訪れるお客さんも、皆が心地よい環境作りは、私と言う存在を少しずつこの空間から消してゆくことでもあると思っている。


 そして長い旅にでかける準備も少しずつ始める。


 毎日、いろいろな準備ばかりしている。


 本番は今でもあり、ずっと先でもある。

sketch/2016.3.3【安心して良い】

 調子は戻るが、念のため休日に。喫茶店や古本屋を巡り、散髪をする。


 ここのところ、あまりギターを弾けていなかったので、神様が暇を与えてくれた時間のような気がして指先を滑らす。


 続ける為には、多少離れることも必要で、続く事というものは自然についてくるから、安心して良い。

sketch/2016.3.2【なんとも。】

 一日寝込むと決めた。腹痛だが下っていない。ふと、暫く大きい方をもよおしていないと気がつく。


 (便秘、風邪)インターネットで二つのキーワードを検索すると、出た。


 『腸の機能低下による免疫力の低下。』


 これだ、と思い決戦の舞台トイレへ。


 なんとかかんとか、踏ん張り出した後は、次第に回復してゆく様子。


 なんとも。

sketch/2016.3.1【発熱】

 午後になり原因不明の寒気と発熱。


 午前中から腹痛があり、『今朝のチーズケーキか、一昨日の牡蠣が原因か?』と疑ったが、一向に下る様子は無い。


 そんなこんなで、店を開けたが、いよいよ立っているのも辛い。


 店を閉め、病院へ向かう。


 検査の結果、インフルエンザでは無かった。