sketch/2015.7.30

キャロルキングが好きな税理士さんと、決算の打ち合わせ。空がゴロゴロと鳴って陽射しが陰ると、エアコンの効きがよくなる。アイスコーヒーを傾けると、氷とグラスが当たって、夏の音がする。

sketch/2015.7.29

久しぶりにテレビを垂れ流してみる。前よりも音が刺々しく聴こえる気がする。TVのスピーカーのせいなのか、現場の機材のせいなのか、僕の耳が変わったのか。

sketch/2015.7.28

A=432Hzのチューニングを試してみる。色々な事が腑に落ちる。音楽は世界を平和にするのかもしれないと、すこし期待してしまう。伝えたい衝動を曲にする。曲が一つ生まれる。

sketch/2015.7.27

12ヶ月点検を終えた愛車を迎えにゆく。1990年式の車はまだまだ現役でよく走ってくれている。乗り換えた方が安いという言葉は、まさに経済の縮図のようだなと考える。家電製品も、家も、作っては壊し、また作る。エコマークを味方につけた世界が破壊を正当化している。そして僕の古い車も、排気ガスをまき散らして世界を汚している。

sketch/2015.7.26

WNC Vol.6。シンガーソングライターになりたいという15歳の女の子がじっと見ている。僕の音楽はどんな風に聴こえたのだろうか。初めて曲を作った時の事を思い出してしまう。三島の学生下宿で、友人に聞かせた光景をぼんやりと覚えている。

sketch/2015.7.25

隅田川を見下ろすルーフバルコニーからの景色。人影のない筏から次々と花火が上がる。花火大会と呼ばれる会場へ赴くのは何年ぶりだろうか。ここ数年は記憶に無い。クライマックスを向かえる時の、圧倒的なパフォーマンスに関心する。どの世界でも、圧倒的なことは人を魅了して興奮に導く。同じ花火でも、線香花火ほどのささやかな演出とは対局の世界。振り向かせるか、振り向いてもらえるか。酔った頭で考える。

sketch/2015.7.24

エアコンをフル稼働。消費電力を思いながらも、フル稼働。いつからか、エアコンの無い屋内など、死すら連想してしまう。光化学スモッグ注意報の放送と、炎天下の人気の無い公園。水だしのアイスコーヒーを飲みながらギターをつま弾いている。

sketch/2015.7.23

2ヶ月分の領収書やらと5時間の戦い。よくもこんなに溜め込んでしまったものだと感心する。6月決済。ツアー中も税理士さんからの電話あり。明日からguzuri珈琲店の営業が再開。日常が入れ替わる。

sketch/2015.7.22

熱帯夜。さっき録音エンジニアを終えて外へ出ると、真っ暗な公園から蝉の声。いよいよそのシーズンに入った。夜中の道路を自転車で走る。まずはビール、寿司と冷やの純米を注文。そこで〆る。小一時間経って店を出ると小雨。空が白み出してくる少し前。

sketch/2015.7.21

久しぶりに映画を見る。本日も晴天。美しい夕焼け空が不気味なグラデーションに変わって、日が暮れた。中央線からは西東京から埼玉に続く見慣れた平野が続いている。ふと友人宅の窓が見える。あちら側からの景色も知っている。今年も夏が来た。

sketch/2015.7.20

ラフォーレ前でタクシーを捕まえる。電車に乗り家路につく。何か美味しい物を食べたいと思いつつも、ビールと蕎麦をコンビニ袋にぶら下げて歩く。指先が鉄の錆びた色をしている。固いかさぶたの様な皮膚は孫の手ほどのかき心地。こんなにもお客さんと向き合えた演奏の日々に、少しの驚きと、無駄に歳を重ねて来た訳では無かったのだと思うけれど、僕がステージに迎えるように準備をしてくれたスタッフの存在を大きく感じる。ただの感謝とも違う。梅雨は明けている。また明日、おやすみなさい。

sketch/2015.7.19

羽田空港へ着くと、関東は梅雨明けとのこと。この6日間の雨という雨は、大阪の終演後から朝にかけてだけだった。うまく台風をすり抜けた旅は終わり、高速バスに揺られる。気を抜くと風邪でも引きそうだけど、明日の千秋楽を体が意識しているらしく、どうも免疫力が高まっているのを感じる。3連休も中日。いつもガラガラの中華屋もひっきりなしにお客がやってくる。もうすっかり夏の夜が始まっている。

sketch/2015.7.18

きつねうどんに温玉を。バンバン福島さん推薦のうどん屋。5日目の疲れが浄化されるのを感じる。食に、こんなにも癒しの効果がある事に驚き喜び、ステージまでの時間を過ごす。暖かいお客さんの視線を感じながら、演奏の旅が終わる。安堵で良く酔える福岡の夜。世界一の日本酒とともに。

sketch/2015.7.17

広島駅を出て路面電車へ向かう。ある予感は始まっている。僕はこの町が好きだという予感。台風一過の青い空が始まっている。今朝まで感じていた大阪の高い湿度が、吹き返しの風をより軽く感じさせる。ホテルの受付で教えてもらったカレーショップも、タワーレコードの雰囲気も、街路樹も申しぶんない。大通りの角のカフェからの眺めも、シャムロックという花屋も、そこで働くスタッフ、イベンターのステレオレコードさんも。すべてが連動して動いている街。そこに集まるお客さんも。台風一過と梅雨明けの予感も相まって、今年一番の街。

sketch/2015.7.16

ビックステップのピンボール場のプロデューサーと青山のヘイデンブックスで出会ってから、アメ村に縁が生まれた。LA、青山、アメ村、入間の輪は少しずつだけど、自然に続いている。傘をささないで雨村を歩く。心の座りどころの無い街だけど、お気に入りの中華屋や、居心地の良い洋食屋もある。そしてたまに、バンコクやソウルの街角に迷い込んだ錯覚を覚える。もっとゆっくり話をしていたい。次は入間か、OCで。はたまたグラムパーソンズが逝った公園で。

sketch/2015.7.15

京都盆地の夏。台風が近づいている気配はまだ無く、少しカラッとしている気がするけれど、終演後に外へ出るとアスファルトは濡れていて、にわか雨の後のもわっとした空気が漂う。もう別の気候に変わっている。台風の気配を感じる。京都は昔から特別な場所。夏の終わりに、もう一度、藤井さんのお墓へ手を合わせに来ようと思う。その寺の庭園で、ゆっくりと夏の宵を迎えたい。

sketch/2015.7.14

梅雨時にもかかわらず、連日の炎天下。洗濯物は1時間もあれば乾いてしまった。それでもまだこの時期のアスファルトの照り返しは、真夏のそれに比べれば穏やかだなと思う。冷房の効いた中央線で東京駅まで。2年ぶりの名古屋公演へ向かう。リクオさんのHOBO HOUSEのレコ発から今回の自分のレコ発、そして数年前guzuriで録音をした名古屋のYOK.さん。TOKUZOとguzuriの不思議な縁。結局またこの場所へ、縁のある人と来ることになっていたのだと思う。終演後も深く話し込む。旅が始まる。

sketch/2015.7.13

東所沢から所沢インター辺りはまだまだのどかな景色が広がる。よく山に見るそれではなく、郊外の開発の手が届かない地域ののどかさは、所沢をモデルにしたトトロの時代と今尚地続きのような気がする。いつもと違う道を行ったので、何度か道に迷いながら辿り着いた自動車屋は、気だての良いおばさんと、相変わらずのひょうひょうとしたご主人が迎えてくれた。まだ蝉の音の乏しい静かな夏の始まりは、すこし異様な雰囲気を持っていて、帰りの武蔵野線なんかはイヤホンをして良い音楽をかけたら、異空間へリアルトリップできる。夜になって羊毛くんを誘ってゆっくり話す。彼はノンアルコールビールを5本くらい飲んだ。

sketch/2015.7.12

夏日は続く。冷房を効かせた古い車はブレーキフルートランプの点灯とマフラーに異音。火曜からのツアー中に点検に出そうと思う。ハウスの中の熱気に今年も夏が来たと感じる。まだ疎らな蝉の音がシャワーのように公園から降り注ぐ夏は近い。

sketch/2015.7.11

相変わらずの晴天。湾岸線を東へ向かう。海からの湿った空気が、このエリア独特の夏の始まりを告げる。18から25までの7年間を過ごした町々を通り過ぎて西千葉まで。千葉大学前のラーメン屋、千葉パルコやルック。中央公園。もう随分昔の出来事を思い出す。2009年にcafeSTANDで歌う、もっとずっと前の物語がある。ライブスポット、ルックの昼間のオーディションも懐かしい。初めてまじまじと見た栄町は異国情緒たっぷり。幕をあけた久しぶりのツアーは、歌いはじめた初めての夏と同じ、東京湾の夏の海の匂いがした。

sketch/2015.7.10

しばらくの雨から、久しぶりの太陽。初夏の蝉が控えめに鳴きはじめた午後。思わずビールの栓を開けてしまう。窓を開け放ち、掃除機をかけ、洗濯をして、guzuriの風を入れ替える。WNCも公園側は開け放って開催。午後のうだるような暑ささから、夕涼み、ひんやりとした夜がくるこの気候に、ノースハリウッドの夜を思う。もてなす喜びを、自分の音楽の中に見つける事ができた夜なのかもしれない。

sketch/2015.7.9

録音3日目。今日も雨。ストイックに音を求める3人の女性。ミックスをしていて拍手されたのは初めてなので嬉しい気持ち。しかし何よりも演奏が良いので成り立つミックス。ダメな演奏を良くすることは出来ない。リプレイを希望する演奏者の気持ちが痛いくらい分かるので、RECのタイムラインが走るのを見るのは、自分の事の様で可笑しく不思議な気持ち。

sketch/2015.7.8

引き続き録音。そして雨。そして深夜。やっぱりまた、ロイヤルホストにいる。雨に濡れた片側2車線の通りを眺めて珈琲をすする。外の見える席に座りたかったので、案内されたテーブルを変えてもらう。気分転換に夜の町をドライブすることがたまにある。カーステレオから流れる音楽と、夜の流れる景色と共に、幾つも街が名前を変えて過ぎてゆく。辿り着いたオレンジ色の看板を掲げたファミリーレストランで、そろそろ日付が変わる。

sketch/2015.7.7

今日から3日間、別の録音が始まる。録音エンジニアとして働く。ハープ、フィドル、ホイッスル、フルートの音色。モニターしながら日々の疲れを癒してくれる音がする。しかしながら目を開くと目の前には音の波形。この頃自分の録音中は波形を見ないことにしている。波形を見ながら聴く音と、見ないで聴く音。同じだけど違う。何事も見えない方が良い事もある。夜遅くになって今日が七夕だと気がつく。今年の願い事は、そうすけ(友人の子供)に沢山会えますように!と短冊に書いた。彼の家の近くのスーパーマーケットの短冊に、子供のような字で書いた。連絡するのをすかっり忘れてしまっていた。

sketch/2015.7.6

録音初日に撮影と録音をしたPVの仕上げの作業は、顕微鏡で覗く世界の唄入れスタジオと目と鼻の先。この町のデニーズは好きでたまに使う。車を停めて小雨の中スタジオまで歩く。急な坂を下ってビルのインターホンを押す。ワンカメなので色味をチェックしてあっけなく終了。夜には公開される。帰り道、親友に電話をする。息子が仮面ライダーに夢中らしい。彼のトミカブームは去った。僕はV3が好きだった。

sketch/2015.7.5

昨日までのプレイヤーから本日はエンジニアへ転身。演者の気持ちがよく分かる。エンジニアの気持ちもよく分かる。今日も素晴らしいケータリング。そしてノニ茶を頂いた、ノニづいている。

sketch/2015.7.4

最終日、録音1世界はおやすみ。録音2春の海(リトライ)。深夜2時をまわり、新作のミックスまで終了。TIME STREAMシリーズが始まって、すでにここ5年分以上の曲を作っている。そしてたぶん一人だったら数年は掛かる事を、この1年でやろうとしている。season1からseason4までは、日々のスケッチのように時の流れを感じると思う。

sketch/2015.7.3

REC3日目。計7曲のうち、新曲5曲、未発表曲2曲はリアレンジしたので、演奏的には7曲ほとんど新曲のようなもの。出来上がったばかりの曲達と向き合う絶妙な数分感が続く。この日の録音1春の海。録音2午後の光。

sketch/2015.7.2

REC2日目。二十歳ころの春の曲と、震災後の春に作った2曲を録音。当時の事を否応にも思い出す。多くの事が変わったけど、自分の深いところはちっとも変わっていない。そう思える一日だった。録音1弥生の季節。録音2あの日の面影。

sketch/2015.7.1

午後になって雨はやんだ。TimeStream season2の録音初日。これから4日間で7曲の録音とミックスまで。パートナーはseason1に引き続きエンジニアの中村さん。ハナレグミのエンジニアリングを見ていてお願いしたくなった。夜になってPVの撮影。今回のPVもCDに納める物とは別の同録版。この日の録音1Spring is coming to town。録音2 向かい合わせ。録音3世界はおやすみ(撮影と録音)ダビング録音の何倍も精神疲労する弾き語りの時間が始まる。