去年の今日は、春の嵐だったと羊毛くんは言った。
赤坂の夜はギラギラしていて、客引きの少女のあどけなさが、この街には不釣り合いなのか、それともこのネオン街の本性なのか私には見分けがつかない。
池袋で寿司をかっ込んで、そのあと電車に揺られていても、いつかのように鬼気迫るものはなく、ただ削ぎ落とされてゆく感覚。
去年の今日は、春の嵐だったと羊毛くんは言った。
赤坂の夜はギラギラしていて、客引きの少女のあどけなさが、この街には不釣り合いなのか、それともこのネオン街の本性なのか私には見分けがつかない。
池袋で寿司をかっ込んで、そのあと電車に揺られていても、いつかのように鬼気迫るものはなく、ただ削ぎ落とされてゆく感覚。
午前4時。頭がフリーズ。
やっとギターを手にするものの、すぐに力つきる。
長く延びた爪が、不意の力仕事でぐにゃりと折れまがるが、爪は折れず一瞬はがれ内出血に近い状態の指が2本。そして手首のけんしょう炎。
そして、時間がいくらあっても足りない。
市民運動をしている人々に触れると、私自身が少し充電される心地になる。
その感覚はもしかしたら、私が歌う事で誰かに与えているものに近いのではないだろうか。そんな気がする。
明日のイベントで振る舞うドイツ料理の仕込みで一日が終わる。今年は料理にも力を入れたいと思うのだが、一筋縄ではない。
丸一日充電している車のバッテリーの様子をうかがいながら、ピザ生地の発酵をまち、ギターにさわる。ラチェットを片手に車の下に潜ったりもする。
私の手の向かうところはいよいよ、とっちらかっているので、せめてもと物をいろいろと捨て始めている。
この日に来るメールの内容は楽しみだったりするが、ここ数年のこの日はとくに誰からも音沙汰がない。
私も特に面白いことを考えたりする事を辞めてしまっている。
寝ぼけ眼で駅のホーム。ベンチに腰掛ける疲れきった私の視線は低く、スニーカーや革靴、ハイヒールなどが一方通行で横切る。
世の中と切り離された感覚の時間を感じる瞬間。
今朝の場合、心地よい。