sketch/2016.4.8【春の嵐】

 去年の今日は、春の嵐だったと羊毛くんは言った。


 赤坂の夜はギラギラしていて、客引きの少女のあどけなさが、この街には不釣り合いなのか、それともこのネオン街の本性なのか私には見分けがつかない。


 池袋で寿司をかっ込んで、そのあと電車に揺られていても、いつかのように鬼気迫るものはなく、ただ削ぎ落とされてゆく感覚。

sketch/2016.4.7【帰りたい場所】

 知れば知る程、尊敬も畏怖心も増すような、そんな体験をしていたい。


 そこに帰ってゆきたい。

sketch/2016.4.6【疑念スパイラル】

 走りすぎてゆく疑念を眺めている。


 走り去ってはまたを繰り返す。

sketch/2016.4.5【足りない】

 午前4時。頭がフリーズ。


 やっとギターを手にするものの、すぐに力つきる。


 長く延びた爪が、不意の力仕事でぐにゃりと折れまがるが、爪は折れず一瞬はがれ内出血に近い状態の指が2本。そして手首のけんしょう炎。


 そして、時間がいくらあっても足りない。

sketch/2016.4.4【ときめき】

 ときめいた瞳をしている人が好きだ。


 私は随分前からトキメキを忘れているので、そんな人を見るとはっとする。

sketch/2016.4.3【その感覚】

 市民運動をしている人々に触れると、私自身が少し充電される心地になる。


 その感覚はもしかしたら、私が歌う事で誰かに与えているものに近いのではないだろうか。そんな気がする。

sketch/2016.4.2【捨て始めている】

 明日のイベントで振る舞うドイツ料理の仕込みで一日が終わる。今年は料理にも力を入れたいと思うのだが、一筋縄ではない。


 丸一日充電している車のバッテリーの様子をうかがいながら、ピザ生地の発酵をまち、ギターにさわる。ラチェットを片手に車の下に潜ったりもする。


 私の手の向かうところはいよいよ、とっちらかっているので、せめてもと物をいろいろと捨て始めている。

sketch/2016.4.1【エイプリルフール】

 この日に来るメールの内容は楽しみだったりするが、ここ数年のこの日はとくに誰からも音沙汰がない。


 私も特に面白いことを考えたりする事を辞めてしまっている。

sketch/2016.3.31【生徒になる】

 久しぶりに『教わる』という状況。生徒になるという行為は、もしかしたら定期的に行うべきなのではないだろうか。

sketch/2016.3.30【今朝の場合】

 寝ぼけ眼で駅のホーム。ベンチに腰掛ける疲れきった私の視線は低く、スニーカーや革靴、ハイヒールなどが一方通行で横切る。


 世の中と切り離された感覚の時間を感じる瞬間。


 今朝の場合、心地よい。