sketch/2014.11.12

夜は店番をする事が多いが、週に一度か二度は一日guzuriの店番をするようにしている。一日の人の流れや、店の細かいところに気をまわす。それでもスタッフに指摘される事も多い。僕には気がつかない事がスタッフには出来るしその逆も多い。それでいい。 近所の焼き鳥屋のおやじが訪ねてくる。いつも焼き物をしながら客と話すおやじは、どうせ呑みながらやっているんだろうと、その口ぶりを見て思っていた。しかし、アイスコーヒーを飲みながらでもその口ぶりは変わらない。デフォルトだった。酒は少し前に辞めたらしい。「君の本業は音楽家か?」 ええ。まあ。「メジャーじゃないな。テレビでみないもんな。」ええ。出れないんですよ。 同じ会話を先週もしている。昼食をしに来た田口と僕を見て「君たちはのんきだな。のんきでいいや。」そう言い放ち焼き鳥屋のおやじは帰っていった。 近所のアハトというカフェの谷藤さんがなぜかguzuriにカイ君が注文した雑貨を納品にやってくる。お客さんが居なかったので、珈琲を出して雑談。こんな雑談から仕事が生まれるものだ。先日もアハトさんの店先での立ち話から、展示会のオープニングで演奏させていただくことになっている。今日も会話の中でアイディアの種が生まれた。 秋の曇りの日。


登場人物/ カイ君(PHABLIC×KAZUIのデザイナー)/田口(車屋、ウェブデザイナー、エアストリーム仲間)/谷藤さん(近所のカフェacht8 店主)


 

sketch/2014.11.11

小雨が降る朝。朝から立川まで用事に出かける。guzuriに戻ると新作デザートの焼林檎が売り切れの報告を受ける。うれしい。Officeで日曜日の漣さんとの譜面を揃えてから、アンサリーさんの録音の打ち合わせに出かける。あっという間に一日が終わった。森さんのour shopに珈琲を持って立ち寄りSUNDAY MARKETの今後について話す。来週はguzuriの新しい扉の吊り込みや、スタジオのシステムの事もある。週中には静岡の中学校で講演をする。色々な事が同時進行。ごちゃごちゃしてるけど、心はどんどんシンプルになっていく。

sketch/2014.11.10

スタジオシステムラボからニアのモニタースピーカーのデモ機が送られて来て2週間程経つが、ようやく梱包を開封しセッティングをする。しばらく試してみるつもり。スタジオ周りを改めており、心地よさが際立つスタジオに、エンジニア目線でも良い環境づくりを始めている。来週はラボの柳井さんにguzuriに来てもらおうと思っている。 今日はアニー君がPaniyolo君の録音の下見にguzuriにやって来た。パニ君からもらったクリスマスのCDがこれからの季節の店内にとても合う。 明日はクリスマスっぽい照明でも買いに行こうと思っている。

sketch/2014.11.8

入間もはずれの方に来ると、様子が変わってくる。茶畑が延々と続く道を行くと、カリフォルニアの田舎道をドライブしたときの事を思い出す。横田基地から飛び立つ米軍の飛行機が一日に幾度も上空を過ぎる。そんな入間のはずれに、海洋コンテナ防音室の施工現場はある。 今朝は特に寒かった。防音窓を設置、コーキング、床の仕上げ。あっという間に4時のチャイムが鳴る。「日が短くなりましたね。」などと、分電盤を付けに来た電気屋さんと話す。 依頼主のコントラバス奏者の栗原君とは羊毛くんの紹介で知り合った。彼がguzuriへ来たのはもう半年くらい前だろうか。定かではないが、コンテナを置ける物件探しから始まっているので、ずいぶん時間は経っている。 午前八時、現場に入る時間に彼は自宅に居ない。聞くと、毎朝6時に少し離れた実家の練習室へ出かけていくのだという。2時間ほど運指やピッチの確認の後、日中の仕事を終えて、夜も音を出しに出かけていく。その話を聞いてずいぶん影響された。僕ももっとやらなければと思った。 さっき、第一次工事を終えて音を出してみた。明日の朝は新しい練習室で音が出せそうだ。第二次工事は、アンプでもある程度音が出せるようにするための吸音を施す。棚や、その他まで、しばらく工事は続く。ベーズを構える彼の姿は美しく、歳月を積んだ者だけが放つ雰囲気をまとっている。


はっとする生き方に触れると、動き出したくてたまらなくなる。今日はこれから、さっき届いた新しい楽譜を開いてみる。今夜もguzuriの店番だけれども、人が来て欲しい様な欲しくない様な、そんな心地でいる。


 


BASSE PLANTE のホームページ  FACEBOOKページ


 

sketch/2014.11.5 その2

今日、guzuriに居る?  昨日、桜井さんの他にもう一人、そんな連絡が入った。FHABLIC×KAZUIのデザイナーの日以くんからだった。 明日と明後日なら店番していると返す。 アトリエのある町田から入間までは圏央道で20分そこらだから、もはやご近所。先日もアトリエのパーティーへ行ったばかり。 HADEN BOOKS以降、ライブの衣装を担当してくれる事になり、今回は16日キチムの衣装合わせ。大量の洋服が店内に持ち込まれ、そのまま洋服屋が開けそうだった。 平日の暇な店内は、さながら洋服屋の試着室と化した。 驚いたのは、来年の春夏のアイテムが、もうこの時期にあるという事。ファッション業界では当たり前なのだという。僕は来年予定しているアルバムの録音にまだ入っていない。少し焦る。焦ろうと思う。 ジャンルは違えど、造り手の思いや物に触れる度に嬉しくなる。カイ君の服を着ると、良い音楽を聴いた時のような気持ちになる。


 

sketch/2014.11.5

リクオさんからメールが来ていた。ー 慎ちゃん、色々感謝してます。ありがと。ー  とんでもない。僕の方こそ感謝している。リクオさんのアルバムに参加出来たこと、共にツアーに出たり、ホールコンサートをさせてもらった事は大きな糧になっている。送られて来たトレイラー映像を何度も見返してしまう。ついこの間の事なのに、遠い出来事のようにも思える。 あの夜、朝まで呑んだ。BYGから神泉のBarへ梯子酒。ヨレヨレで渋谷駅まで歩いた。記憶も財布も無くした。そのせいもあって、幻の様な夜だった。 いい夜には予感がある。いつか思い返す夜だ、そんな風に思う。少しのセンチメンタルの後には、まだ夜が続く喜びがやってくる。時を重ねていくと、そんな夜も少なくない。


今夜はリクオさんの優しい京都弁が胸にこだまする。


『リクオ with HOBO HOUSE BAND Live at 伝承ホール』 CD/DVD 予告編

sketch/2014.11.4

海洋コンテナの防音工事も佳境に差し掛かり、気がつけば季節はすっかり変わった。依頼主のコントラバス奏者、今夜はオーケストラ。子供達の為のオケだという。仕事を早く切り上げ自宅でリハーサルをしている。心地よい音の中、僕は防音室の仕上げの為の養生をする。日が傾き、演奏へ出かける古いワーゲンのビートル。今夜も冷えそうな予感。暗くなるまで石膏ボードパテをひたすら塗る。 帰り道、森さんのOUR SHOPへ立ち寄り、輸入物の電気スイッチを購入。コンテナ用にと思ったが、guzuriにも欲しくなり、もう一つ買う。明日は終日guzuriの店番なので、前室のスイッチをさっき買ったものに交換しようと思う。少しずつ全部変えるつもり。今夜も18:00から店番交代。食堂長に帰り際、テーブル用の黒板4つ、新しいフードプロセッサー、そして店内音楽のシステム改善、という注文を受ける。やる事が増えた。今後メニューに加わる焼きリンゴやプリンのブリュレの為にバーナーも必要だ。


昼間、ロンサムの桜井さんから電話があり、これからguzuriにお茶しに来るとのこと。さっきコントロールルームにお土産のCD二枚を発見。それを聴きながらPCに向かい珈琲を飲んでいる。今夜も月が美しい。良い音楽と共に夜がゆく。

sketch/2014.11.3

午後の航空ショーは今年も見に行かずに防音工事の現場へ向かう。入間のはずれの現場はブルーインパルスの旋回ルートだった。エアストリームの置いてある場所は自衛隊の基地のすぐ脇にある。現場仕事を終えて立ち寄ると、朝からショーを見ながら呑んでいるというあいつが、もう1台のエアストリームの中でぐったりとしている。今日はもちろんお祭り騒ぎだったらしい。少し話してguzuriへ戻る。食堂長と交代。夜の静まり返った米軍ハウス街。食事をして珈琲を飲みながら、領収書の整理をしようとしているところだ。ずいぶんと夜は寒くなって来た。今日の終わりを、来る宛の無い客人を待ちながら過ごしている。

PUFFIN RECORDS YouTubeチャンネル

PUFFIN RECORDSのオフィシャルYouTubeチャンネルが始まりました。
昨日はセカンドアルバム「Spring Has Come」の全曲がフル試聴出来るようになりました。
思い返すと、セカンドアルバムはMVを作っていなかったので、実際に購入して下さった方のみ聞く事が可能でした。発売から1年と半年が過ぎようとしています。昨日、久しぶりにアルバムを聞き返してみると、録音の風景、演奏しているミュージシャンの息づかいや、エンジニアの気配が作品の中に凝縮されていました。


素晴らしいメンバーに支えられて完成したアルバム。売れる、売れないの前に、聴いてもらいたいという思いが初期衝動のように湧いてきました。今後も過去の作品をアップする予定です。これから沢山の人が気軽に聴く事が出来ると思うと、なんだか新しくCDをリリースしたとき以上にワクワクしますし、作品も喜ぶと思います。各曲の詳細欄には参加ミュージシャンのクレジットもあるので、そちらもご覧頂きながら楽しんで下さい。各曲のエピソードもそのうち追加出来たらなどとも思っていますので、どうぞよろしくお願いします!


PUFFIN RECORDSのチャンネル


 

音楽でやっていく

大学の建築学科を中退してから12年と半年経つ。


あの頃、わけも分からずに「音楽でやってく。」それだけで学校を辞めた。
担任教授が電話で保護者確認をする。たしか国際電話で、もう何年も会っていなかったけれど、親父にはとくに何も言われなかった。あっけなく退学の手続きは終わった。


それから1年経って、学校の仲間と同じように就職した。不動産売買の営業マンになった。ビギナーズラックか、月収は100万円を超えた。就職したのは、お金に困っていたし、すこし自分に諦めを感じていたからだったと思う。
建築と不動産の勉強を改めてしながら音楽活動をして、その傍らで文学を追い、三島由紀夫を片っ端から読んだ。新しい生活の中で自分の中に枯渇していたものが徐々に埋まっていった。部長にすこし長い手紙を書いて退職した。その時代は、たぶん今のいしずえになっている。
その後、小説の中に出てくる様な珈琲店と出会い、働きはじめた。3年程、珈琲と哲学に浸り、様々な考察を繰り返した。
大学へ入ってからその頃までは、まるで前世の出来事のように、周りに居る人も環境も変わった。


先日大学の友人がguzuriを訪ねて来てくれた。会う前は今の自分がどんな風に映るだろうかと、ドキドキした。会ってみると時間は思った程には経っていない気がした。
住宅、病院や施設の施工管理として企業で活躍する彼らの姿はとても頼もしく、歳月を重ねた経験値を感じた。丁度ホームセンターへ行く用事があったので彼らを誘った。木を選定する作業の中で、各人の目に共有する知識や歴史を感じてしまい、嬉しかった。別々に年を重ね、別々の生活の中で培ってきたものが共有される喜びだった。木を選ぶ、ただそれだけなのに。楽しい時間だった。


「音楽でやって行く。」という大義名分をかかげた若者は、あれから右往左往して今、朝の珈琲店にいる。そんな「やって行く」という、いまいましいしくてやっかいな言葉とは「うまくやっている」つもり。
二十歳の頃の自分の歌声を聴いて思う。諦めの悪さだけは持っていたね。


大学を辞めて12年と半年経つ。
久々に友人と会って書き留めたくなった。